あけましておめでとうございます。調剤事務のうさぎ太郎です。
この年末年始は最大9連休ということで、年明けの来局者数がみなさまエライことになっているのではないでしょうか。。。インフルもコンボで。。。
そんな忙しい年明けに溜まってほしくない処方せん、それが一包化。
一包化は薬剤師さんの作業の中でも手間と時間がかかり、可能な限り加算を算定したい作業ですよね。昨年ニュースになった調剤ミスでスギ薬局が提訴された件も、一包化のチェックミスが一因です。あってはならない事件ではありますが、改めて考えるとこの一包化という危険を孕むような作業が、1週間分につき340円でやらされているというのはやっぱり安すぎると思います。（もちろんやるからには金額の問題ではないのですが）
手間と時間はすごくかかるのに、一包化の算定要件を満たさず0円のサービスとして一包化せざるをえないという事は結構ありますよね・・・朝食後２種類のみ９０日分の処方をサービスで一包化とかなかなかの悲しみです。
一包化加算の要件を満たさないサービス一包化は、薬剤師の労働力搾取どころか、分包紙代だってバカにならないので薬局の利益で言えばマイナスです。つらい。
ここでお聞きします。
処方せん上は一包化加算の要件を満たしているのに、吸湿性の問題などで脱ヒート出来ない薬剤が処方された時はみなさんどうしていますか。分包紙に端にホッチキス留め・テープ留めしてますか？
一包化しているような、していないような状態…のこのホッチキス留め＆テープ留め。このたび審査機関に確認してみましたのでみなさまに共有です。
「一包化の要件を満たしているけど、一包化不可の薬剤だからテープでとめた」場合は加算算定できる？
このようなことは結構あると思います。吸湿性や遮光性の問題で一包化出来ない薬剤はたくさんありますよね。また、便秘薬は医師は一包化に含めるよう指示していても患者希望で「調整したいからテープで分包紙の端にとめておいて」とかもまああるです。
で、一包化した分包紙にホッチキスやテープでとめていく・・・
薬剤師さんのブログで「一包化に適さない薬剤一覧」を作成されているページがあったのでリンクを貼らせていただくと・・・
こんな感じで結構あります。（記事タイトルは一包化不可となっているけど、あくまで適さない薬と書かれていますね）※もしたまたまこの記事を一般の人が見てくださっていたら、感じてほしい。薬剤師さんはこういう知識でもってみなさんに安全に薬をお渡ししようとしていることを…。薬剤師さんの脅威の知識力を…。
この薬剤師さんも「適さない」としているだけで、結構この表の中の薬剤長期日数で一包化されてるの、目にします。「適さないだけで、この日数なら一包化しても安定性に問題ないからOK」という判断は薬剤師さんの知識のたまものなのでしょう。
またこの表に載っていないくても一包化不可となっている薬剤も見ます。プラザキサとか、添付文書上では一包化不可になってないのに箱に一包化不可って書いてあるし。。。そう、今回私が納得いかず「一包化加算算定した～い」となった薬剤がプラザキサです。
前置きが長くなりましたが、今回例として取り上げたい処方せんはこちらです。（実際の処方そのままではありません）
プラザキサが一包化に適さないので、薬AとBを一包化して、プラザキサは「脱ヒートせず」ハサミで１カプセルずつ切り分けて、分包したものに１つずつペタペタと貼ってゆきます。。。
地道！普通に一包化するより倍の時間がかかります。
でも医師の指示もあり、患者さん（良い人）も時間がかかってもいいから貼り付けて欲しいっておっしゃるのです。。。
実際に脱ヒートして一包化しているのは薬AとBの２つだけ。これだと一包化加算の要件を満たしてはいません・・・これは一包化の加算算定が認められるのか、認められないのか、みなさんご存じでしょうか。
審査機関に聞いてみた
ということで今回も審査機関に聞いてみました。
すみません、一包化の加算について教えてください！
こんな処方（上記）で、プラザキサは一包化に適さないため一包化した分包紙に１錠ずつ貼り付けて患者さんにお渡ししています。
プラザキサは箱にこそ一包化不可とは書いていますが、添付文書では一包化不可とはなっていません。
一包化加算を算定してもいいでしょうか？
う～ん、手間も時間も普通の一包化以上にかかることはお察しします。
ただ、一包化加算を算定するためには「脱ヒートをしている事」が必須なんです。
ヒートから出していない状態で提供することで、普通の一包化以上の手間がかかっていたとしても、このケースでは算定することを認められません、すみません。
そうなんですか…分かりました。
ところで、審査機関の方では添付文書に基づいて算定の可否を判断しているとお聞きしていますが、このプラザキサは添付文書にそういった文言は書いていないんですよ。ただし外箱には書いています。
こういった場合どうでしょうか？一包化加算を算定していたところで気づけないのではないですか？
そうですね、添付文書には書いていないということで、こちらが気付けないこともあると思います。でも先ほど申しましたように、要件としては脱ヒートしていないとダメなんです。ご了承ください。
ということです。
「審査機関側で気づけず減点対象にならないこともあるかもしれないけど、良心をもって算定をお控えください」と要約できます。
審査機関の人は親切で、審査機関の人が悪いわけじゃないのです。問題は調剤報酬の解釈の融通の利かなさ・・・。
調剤報酬の解釈って、「薬学的に問題がないこと判断して」って言うくせに、薬剤師さんが知識をフル活用して薬学的な問題があると判断して、安全な形でお渡しできるよう配慮してお薬を提供したら要件に合わないから加算認めてくれないっていう…そんなところがありますよね。。。
ということで今回も薬局の労力を全く無きものとして扱わざるを得ないという結果に終わりました。ちなみにこの処方は１回限りのものではなく年単位で継続しております。
患者さんのお役に立ててはいるので良し・・・とするしかありません。誰も悪くないのです。患者さんはこうしないとちゃんと飲めないというし、医師はそうしろというし、薬局全体がこの作業でいったん他の業務が全てストップして異様な人件費がここに注がれることになる、のですが、すべては仕方のないことなのです。
せっかく薬剤師さんが薬学的に配慮して、安全な形で患者さんに薬を提供していても、こういう時にこそ加算がとれない・・・患者さんにとってラッキーということになるのかもしれません（？）が、なんだか報われない薬局なのでした。。。
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