偽造処方せん、受け付けたことある?
みなさま今日も薬局でのお仕事おつかれさまです。
毎日PCに向かって処方入力作業、調剤録の小さな文字の確認。。。目を酷使する仕事です。今日も眼精疲労で目がショボショボしていませんか。大丈夫ですか、目がかすんでいませんか?そしてそんな時・・・偽造処方せんがきたら見抜けますか?
私は見抜けたことと、見抜けなかったことがあります。。。「そんなものとは無縁」と思うことなかれ。油断大敵です。ある日突然偽造処方せんは来ます。。。
私が実際に偽造された処方せんに遭遇したのは2件です。件数こそ少ないですが、情報共有することで偽造処方せんでの調剤を未然に防ぐことに繋がればいいなと思います!
偽造処方せん その1 ~カラーコピー編~
偽造発覚の経緯
私が遭遇した偽造処方せん1件目はカラーコピーです。
受付で受け取ったのは私でした。私は全く気付かず処方せんをレセコンに入力し、その後薬剤師さんの監査に渡っても全く気付くことなくお薬を交付しました。そして投薬後、他の調剤事務さんによる2回目の調剤録点検でも気づくことなくそのまま処方せんと調剤録を保管して終了していました。
・・・ではなぜ発覚したのかというと、
全く同じ内容のカラーコピーの偽造処方せんが、系列店舗で間髪あけずに受け付けられ(処方せんの有効期限は4日なので)、その店舗の薬剤師さんが全店共有で見られる薬歴を見て不審に思い、よくよく観察すると処方せんがカラーコピーであったことに気づいたのでした。
同じ系列の薬局に行くことでバレる可能性が高くなるとは思わなかったのか、もしくは1度バレなかったからこの系列の薬局はザルだと思われたのか・・・・
怖いですね。。。ちなみになんとなく皆さん推測していることと思いますが、精神科関係の処方せんです。
そこからうちの店舗に保管していた処方せんも確認するとカラーコピーと判明→本部に報告→おそらく薬剤師会に報告→しかるべき対応、となったと思われます。
カラーコピー処方せんの見抜き方
この一件で初めて「処方せんを偽造する人がいる」ことを意識するようになりました。稀に薬剤師会から「イニシャルA・A 精神科の偽造処方せんを複数の薬局に持ち込む事例あり、全薬局気を付けて。もし持ち込まれたら薬剤師会に報告を!」みたいなFAXが来るじゃないですか。それが全く他人事ではなくなった1件でした。
今回は意識していなかったからスルーしてしまいましたが、実は気を付けて見てみると偽造と分かる点が2点ありました。
①A5用紙の処方せんに対して、コピーにやや不自然な歪みがあった
②裏から見ると、処方医の印鑑にまったく滲みがなく、コピーと分かる
この一件で電子処方せんの安全性を支持出来るようになったし、世間がどれだけ印鑑レスになろうとも処方せんだけは印鑑が絶対必要と思うようになりました、本当に。
この6月からDX加算などというアラフォーにはなかなか馴染みにくい加算が新設となりましたが、電子処方せんならこのような手口の詐欺は起こりえないので、特に向精神薬の処方があるときなどは電子処方せんなら安心だなと思います。
いまだ読者が極少のこのブログですが、せっかくこの記事を読んて下さったそこのあなた、これからは
- 新規患者で向精神薬等が出ている場合は特に気を付ける(リピーターさんはまずやらない)
- 妙な歪みがないか見る
- 裏から見て印鑑が本物か確認する(相当薄い印鑑じゃない限りこれで気づける)
上記を気を付けて見ていただけたらと思います。本当に出会ったら冷や汗かきます(苦笑)
偽造処方せん その2 ~勝手に有効期限延ばす人編~
偽造発覚の経緯
2件目もため息もので
処方せん有効期限の延長欄に手書きで日付が書いてあり、処方医と同じ名前の印鑑も押印されているが、よくよくみると処方医欄の印鑑と、有効期限延長欄の印鑑の字体が違う
というものでした。
ちなみにこのケースでは調剤中に偽造処方せんであることを見抜くことが出来、未然に防ぐことが出来ました。
実はこの患者さんには前科があって、こうなる前にも期限を切らして手書きで有効期限延長欄を自分で記入して持ってきたことがありました。その時は印鑑がないことで疑義照会し、病院側は「延長していません」とのことで発覚。
そんな経緯もあり、この患者さんも学習し(?)、「100均で医者の名前の印鑑買って押しとけば大丈夫でしょ!?」と更なる偽造を仕掛けてきたというわけです。こちらとしてはその点に関しては注意深く観察していたので、この時も無事、捏造が発覚したといわけです。
この患者さんのその後
患者さんを擁護するわけではありませんが、この患者さんの場合は悪意でやったというより、期限を切らしてしまうと色々と面倒だからやったんでしょう。。。こちらも向・抗精神薬系のお薬で、お子さんも同様のお薬を服用して薬局に通っていて、実生活が大変なことは容易に想像できました。落ち着きのない子どもを連れての通院が体力的にも精神的にもシンドイゆえの行動だったのだと思います。(だからといってやってはダメですが)
こういうときは本当に
ケースバイケースで院内処方して
と思わざるを得ません。
転売目的の悪意はなかった事、未然に防げた事として、こちらは通報とはなりませんでした。
この患者さんは2度あることは3度ある・・・とはならずに、その後も継続して来局。期限を切らすクセがあることは変わりませんが、2度バレてからは偽造することはなくなりました。【21】の公費をお持ちなので、病院と薬局を安易に変更出来ないのは良かった点です。患者さん本人も、病院も薬局もみんなで気を付けています(笑)
前述のカラーコピーに関しては悪意まみれでしたが、本件のように悪意はなくても精神科系統のお薬の処方せんは、やはり気を付けないといけないなと思わされる一件でした。
偽造処方せんは、くる
いかがだったでしょうか。
毎日たくさん処方入力していて、「いちいち偽造かどうかなんて見てられないよ!気にしてられないよ!」という声もおありだと思います。
が、来るときは来るものです。繰り返しになりますが、向精神薬系のお薬が出ている新患さんだけでもちょっと、裏から見てみるといいかもしれません。
まぁ、ご多分に漏れず私もほぼ毎日そんなこと忘れて仕事しているんですけど(汗)、いざ偽造処方せんを受け取った時の為にも、「そういうこともあり得る」ということだけ、頭の片隅に置いておいてもらえたら、この記事を書いた甲斐があります。
最後にどうかどうか、この記事を万が一見つけた患者さんが、「私も・・・」と有効期限らんに手書きで日にちを書き足しませんように。。。(犯罪ですよ!バレますよ!)
あと、個人的には処方医の先生の印鑑はね、その辺のよくある書体の印鑑とは違うものを病院には支給してほしいと思っています。切実に。
患者がハンコ屋で処方医と同じ名前の印鑑を勝手に押印することがあることを想定して、処方医印は書体を工夫したものでよろしくお願いしたいです、切実に。