調剤事務として15年勤務しているうさぎ太郎です。といっても調剤事務としての職歴の合間合間に育休や他業種へ転職していたりもするので、初めてこの薬局という業界に足を突っ込んだのは19年前のこと。
今では信じられないことに19年間の新卒入社当時、まだレセプトは紙で綴って提出していました。その後フロッピーディスク提出→CD-R提出→オンライン提出、と進歩していったのです。そう、調剤事務の仕事は時とともにかなり省力化しました。フロッピーなんていまや化石のようですね。。。
さて、AIの進歩や薬局DXだので、ついに「10年後になくなる職業」として名を連ねるようになった調剤事務という職。調剤事務としてこれから働きたい人、現在働いている人は気になるのではないでしょうか。
調剤事務という職は近い将来AIに取って代わられるのか、現場で肌で感じていることをお伝えします!
これが10年後になくなる仕事ランキングらしい
この記事は新卒・第二新卒の若い人を対象に書かれたものですし、記事を書いた人は薬局業界の人ではないので、個人的には「若干言い過ぎ」感もあります。今40代以上の人で調剤事務に転職する場合はそう深く考えなくても大丈夫だと個人的に現場の肌感覚では感じています。
なぜ、うさぎ太郎はそう感じるのか理由を述べてきましょう。
「調剤事務」という仕事は10年ではなくならない。そう考える理由
数年後に調剤事務という仕事がなくなるか、結論から言ってしまえば「なくならない」と思っています。
ただ、10年もしたら従来のイメージの「調剤事務=受付&レセコン操作がメインの仕事」という働き方とは大きく変わっているんじゃないかなと思っています。
1. 「薬剤師補助業務」は生き残る
調剤事務の仕事って大きく2つに分かれます。
- レセコン入力業務
- 薬剤師補助業務
他にも在庫管理やその他もろもろ雑用が多くあるのですが、今回はこの2点に分けます。
①の「レセコン入力業務」は処方せんを調剤報酬として定められた点数に基づき、必要書類を作成したり、患者さんに払ってもらう薬代を計算したり、健康保険に保険請求したりすることです。よくある調剤事務の通信講座でもこの部分を教えています。調剤事務の民間資格もこの部分における知識を問うているわけですね。
②の「薬剤師補助業務」はピッキングや一包化した薬品の錠数チェック、在庫管理や疑義照会,介護施設に配達するお薬のセッティングなど、資格はなくともやってもいい薬剤師の補助業務です。
以前は「薬剤師しか認められていない」調剤業務の範囲が線引きがあいまいだったのですが2019年4月2日に厚労省が線引きを明確にし(いわゆる「0402通知」)それにより調剤事務がやってもいい業務範囲が合法的に増えました。その部分の業務です。簡単に言ってしまえば、一連の調剤業務の中で「正確性は求められるけど、薬学的知識は求めない」業務といえる部分ですね。
0402通知で調剤事務が出来る業務が明確になり、経営者側がどう考えるかというと
調剤事務の業務範囲を増やすことで、薬剤師にかかっていた人件費を減らせる~♪
これです。
ピッキングも、一包化のチェックも、介護施設のセッティングも、1日の調剤業務の中で結構な時間を割きます。以前にも書いた通り(こちら)調剤事務の人件費は薬剤師さんに比べて半分ほどなので、今までそれらの業務のために薬剤師さんにかけていた人件費を大幅に削減できるようになったわけです。
これからの調剤事務の需要はここだと思っています。
※ちなみに調剤事務の業務範囲がいくら増えようとも、調剤事務の給与は大半の会社で据え置きと思われます。
2. 「レセコン入力しかしない人」はほぼ不要になるかもしれないけど
これからAIが出来ることが増えるにつれて「レセコン入力しかしない人」は「不要に近い状態」になる時代へと向かっているのは確かだと思います。
「不要に近い」というのはAIも完璧ではないのでシステムをチェックできる人間は必要という意味で書いております。あくまで個人的な推測ですが。。。無人コンビニとかと一緒ですね。カウンターに人は不要ですが、見張る人は必要という。
そしてそれが何年先のことになるかは分かりませんが。。。
全く現場を知らない人にとりあえず説明すると、既に処方せんについている2次元バーコードを読み取るだけで基本的な入力は出来てしまいます。そしてピッとバーコードを読み取った後は手作業です。 読み込んだデータを正しいか確認して、必要な加算を算定し、患者さんの希望に応じて選択可能な医薬品を選択する。その後書類を印刷し、分包機への指示を飛ばす。それが一連の作業です。もちろん2次元バーコードに対応していない医療機関も薬局もまだまだ存在するので、今の段階では「レセコン入力担当」は必要です。
しかし、まだ完璧にはほど遠い状態ですが、電子処方せんというものも始まりました。病院で処方せんをデータ化しデータベースに送る、薬局はそのデータベースにデータを取りに行くというものです。このベースが整った状態でAIが参入してくれば、「入力専門の調剤事務」ってそんなに需要ありますかね?となってきます。
「使える水準のAI」の完成と実用化にあと何年かかるかは全く私には分かりませんが、遠くない未来の気もしますよね。。。
この現状を知っている外野の人には確かにどう見ても調剤事務は近い将来なくなる仕事に見えると思います。ただ、ただどうしてもそう思えない理由があります。
それは今現在、国が薬局に対して「対物業務」から「対人業務」で加算を取ることを推し進めているから。これをしている限り完全にAIに任せることは難しいと個人的に思うのです。調剤報酬の算定がPC上だけでは完結しえないのです。・・・まぁ、他のことが簡潔になった分、薬剤師が事務的作業を受け持つ余裕が出来れば、この限りではないかもしれませんが(苦笑)
3. 2年に1回の調剤報酬改定がネック
10年後に調剤事務という職業がなくなる、と簡単に言う人たち実際の現場を知っているわけではないので仕方ないとは思いますが、現行の非常に複雑な調剤報酬制度と2年に1回行われている調剤報酬の改定の煩雑さを知らないのだと思います。
つい先日2024年6月から2年ぶりの調剤報酬改定もあり、現役調剤事務さんは実感していることと思いますが、今年もまぁ煩雑でしたよね。。。。
調剤報酬改定って、読む人によって解釈も異なるし、レセプト審査機関の方でも審査する人個人個人で判断も違うんですよね。で、これが腑に落ちないまま、また2年後の改定を迎えるというループです。うさぎとしては、いっそAIに一任してこの解釈のズレをなくしてほしいくらいです。しかし、そもそも調剤報酬改定そのものが施行される時点であやふやなので、AIに学習させる事ってできるのかな?というのがAI素人のうさぎの疑問としてあります。
また、処方せんの内容から全ての計算が出来るならすぐにAIが取って代われるのでしょうが、そうはいかない部分の報酬があるという点で完全にAIに任せるのは今のところ難しい気がします。一例として相互作用のチェックや残薬の調整から算定できる点数などは電子処方せんからデータを取り込むだけでは算定しえない部分です。
だから、そういう薬局業務の一面を知らないメディアの人たちは簡単に調剤事務はAIにとって代わられると言えちゃうのだと思いますが、実際のところそう簡単じゃないと思うのは私だけでしょうか。
現状国は薬剤師の努めを【対物業務から対人業務へ】とシフトしているところですが、対人業務を推し進めている限りAIに完全に任せることはしばらく無理なんではないでしょうか。AIが踏み込みにくそうだから。
逆に国が医療費削減にもっと本気出して時代を巻き返して【完全に対物業務にのみ加算を認める】(対人業務に関しては基礎点数で判定するようにするとか)ように方向転換すれば、調剤事務は不要になって薬剤師とAIだけで低コストで薬局が回せて医療費削減になるやもしれません。。。それはそれでいい気がします。
「調剤事務」の必要性=人件費の削減=医療費の削減という構図で調剤事務は存続する
長くなってしまいましたが10年後になくなる仕事代表のように思われる調剤事務も、形を変えて存続するであろうという私の個人的な推測でした。
なので、たとえば今30~40代で調剤事務転職を考えている場合は、わりと気楽にやってみたらいいと思います。そんなすぐすぐなくならないと思います。
ただ、今小学校低学年の娘が「調剤事務や医療事務の専門学校に行きたい」と言ったら全力で止めると思います。おそらく大きく働き方が変わっていて娘が働き始める時代には「母と同じ仕事」ではなくなっていると思うからです(よい方向に変わっていれば良いのですが)。・・・じゃあもしこの記事を読んでいる人が現時点で高校3年生で進路に迷った末に、なんとなく「医療クラーク科」なる進路に進もうとした場合は・・・慎重に考えた方が良い気がしますね。専門学校の立場からしたら「なくならないよ!」と言うでしょうが、あちらも商売ですから。自分の頭で考えることが大切です。
この記事を読んでいる「これから調剤事務やろうかな」という人が、ご自身の年齢によってこの記事を参考にしていただけたら幸いです。
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