こんにちは、調剤事務歴15年のうさぎ太郎です。
15年経って教える立場になることもしばしばですが、今回は
調剤事務の仕事に興味があるけど、実際にはどういう仕事なんだろう?何か資格は持っておいた方がいいのかな?
このような「調剤事務に興味はあるけど、踏み出すのを迷っている」方にむけて、調剤事務のお仕事について解説していきたいと思います!
調剤事務の主な業務内容
調剤事務の業務は、大きく分類すると以下のようになります。
- 受付&PC入力
- 薬剤師補助
- 調剤報酬請求(レセプト)
- 在庫管理
- その他の一般事務や雑務
②や④は薬剤師さんメインで業務を回しているところもあるかもしれません。①③⑤は調剤事務の業務として必須かと思われます。
以下に詳しく説明していきます!
①受付&パソコン入力
未経験の人が調剤事務の仕事としてパッと思い浮かぶのはこの業務ではないでしょうか?処方せんを持って薬局に訪れた時に最初に受付で出会う従業員、それが調剤事務です。
薬局で働く人と言えばみなさん一様に「薬剤師さん!」と言われますが、来局される患者さんに
この薬局、感じがいいわぁ♪
みたいな印象を持ってもらえるかどうかは、実は受付に立つ調剤事務さんの対応次第なのです。実際うさぎ太郎も新人さんが入ったら1番にお願いするのは「患者さんが来局されたら挨拶してね」です。何の仕事も覚えていない状態でも挨拶だけは気持ちよく。
患者さんに問診票の記入をお願いしたり、保険証やお薬手帳の確認をしたり、必要に応じて様々な案内をしたり…「事務」とは言えど、非常に接客業要素の強い面もあると心得ておくと良いと思います。
パソコン入力については、実はそんなに身構えなくて良いと思います。調剤薬局ではいわゆる「レセコン」という調剤報酬を計算したり、その他薬局運営ためのソフトが入ったパソコンを使用して業務をしています。
使いこなせるか心配される人もいるかと思いますが、徐々に「慣れ」で使いこなせるようになっていくと思います。CADやイラストレーターのような専門性の高いものではありませんので、そこはご安心ください。(機能が多いので使いこなせるようになるまで頑張りは必要ですが…)
レセコンソフトは本当にたくさんの種類があり、調剤事務経験者でも、以前扱ったことがないソフトだと新人さん同様「このソフト使ったことないので教えてください」状態なので気負いすぎなくても大丈夫かと思います。
未経験者の場合、PC入力に関しては、基本的にはブラインドタッチが出来れば、とりあえず大丈夫かと思います(多少ファンクションキーというものの嗜みがあればなお良し)!
教える側は、ブラインドタッチ以上のことは全て教えるつもりでやっていますよ!
ちなみに一般事務的なところでエクセルも多少使うことはあるかと思いますが、基本的に特別難しいことを要求されることはないと思います。
うさぎの経験上、エクセルに関しては最低限入力・保存・添付して送信…出来れば、あとは教えてもらいながら何とかなります! ちょっと珍しい数式とかマクロとかが使えるレベルの人は、取り囲まれて褒めてもらえると思います^^ (もちろんMOSとかあれば採用においては強みであり好印象です。)
②薬剤師補助
医薬品を扱う業務は薬剤師さんがやる・・・と思われている人もいるかもしれません。基本的にはそうなんですが、調剤事務も可能な範囲で薬剤師さんの補助業務をしています!
代表的なところでいうとピッキングという作業。処方せんに基づいて「包装されたままのお薬を取り揃える」までは調剤事務でもやって良いと法律で認められています。もちろん、薬剤師による最終確認があり、薬剤師の責任の下で患者さんに渡されます。
調剤事務にも認められている薬剤師補助業務は、「0402通知」というもので正式に書かれています。
ちょっと読みづらいけど、興味のある人はこちらのPDFを見てみてくださいね→000498352.pdf(H31年4月2日に通知されたので「0402通知」です)
全てに言及すると記事が長くなりすぎるので今回は割愛しますが、薬剤師補助業務の範囲は薬局によってかなり異なります。どこまで補助を認めるかは責任者次第というところ。
0402通知に「調剤事務もやって良し」と書かれていても、経営者判断でやらせてもらえないこともあるし、逆に非常にグレーなところまでやらされる薬局もあるようです。
うさぎ太郎の経験で申しますと・・・長年勤めた割と大きなドラッグストア併設型薬局では本当にピッキングでしか補助に入らず、あとは全て薬剤師さんの仕事と決められていました。 一方、そこから転職した先の薬局ではかなり多岐にわたり薬剤師補助業務が調剤事務の業務とされていました。認められていることは全てやれ、というスタンスですね。
このように、この薬剤師補助業務にどこまで調剤事務が介入するかは会社次第なので、気になる場合は面接でしっかり確認することが大事です。
調剤事務界隈で話をしていると、薬剤師補助業務にはかなり振り幅があるようです。こればっかりは面接で聞いてみないと分からないですね。
PC入力業務多めが好きな調剤事務さんもいれば、薬剤師補助業務多めが好きな調剤事務さんもいます。自分の好みに合った求人に出会えればベストですね。
③調剤報酬請求(レセプト)
調剤事務に関してネット検索したことのある人は、結構な頻度でこの「レセプト」という用語に出会っているのではないでしょうか。
「レセプト」は調剤報酬の請求業務の事。簡単に言うと「患者さんに薬局窓口で払ってもらっていない部分のお金を関係各所に請求する業務」です。
健康保険証を持って病院・薬局に行くと、現役世代は原則3割しかお会計しません(個人差あり)。残り7割を各機関に請求する作業が、レセプト請求です。
で、「レセプトが大変!」って声をよく聞くと思うのですが、理由としては日本全国レセプトは月に1回、毎月5~10日の間に提出することが定められているからです。
毎月末日で翌5~10日に請求する患者さんのデータが揃うわけですが、そのデータを5~10日までに送信出来るように全て整えるのです。土日祝が妙なところにある月や年末年始は厳しい。作業自体は単純作業の積み重ねですが、数百万~数千万円のお金を請求するのでちょっと緊張感もありますね。
ただ、レセプト請求業務を任せてもらえるようになるのは、基本的な知識と日々の業務を習得してから。急に1人でやらないといけない事にはなりませんので大丈夫です。
ちなみにうさぎ太郎が新人さんの教育係になったら・・・
- 1~2ヶ月目:うさぎがやるから、とりあえず隣でなんとなく画面を眺めていてね。分からなくて当然の前提で、解説もサラリと。
- 3~4ヶ月目:「操作は指示するから、ちょっとポチポチ操作してみますか?」と誘う
- 5~6ヶ月目:「一通り自分でやってみますか?隣で見てるから」と誘う
- 半年以降:さぁ、1人で出来るところまでやってみようか!と任せる。もちろん随時質問受け付けます。
みたいな流れで進めることが多いですね。新人さんの力量とその時の薬局の状況によってケースバイケースではありますが、おおよそこんな感じです。
うさぎが新卒入社した時は、3ヵ月目で先輩が退社して新卒のみ取り残されたので、同期と四苦八苦してレセプトしていました(苦笑)。が、あまりないパターンだと思います。。。
④在庫管理
在庫管理に関して、やり方は薬局によって様々です。一言で在庫管理と言っても内訳は
- 発注
- 返品
- 不足品の手配
- 他店舗とのデッドストックのやりとり
- 有効期限のチェック
- 経過措置品目品のチェック
- 医薬品のデザイン変更等に関する管理
- 納品伝票のレセコン入力・管理
- 棚卸
等々、在庫管理に関しては結構な作業量があります。これらをどう分担するかは、これまた薬局次第です。お薬は1錠5円程度のものから、注射1本数万円のものまで。ちゃんと管理しないとデッドストックとなり、かなりの金額を廃棄することも。
うさぎ太郎の経歴で言うと、1社目は全て調剤事務が管理(薬剤師は基本ノータッチ)、2社目は発注と伝票のレセコン入力・管理以外は薬剤師さんがやってくれていました。ただ1社目も2社目も棚卸は薬局総力あげて頑張ります(*’ω’*)
ちなみに、作業量は多い在庫管理ですが、患者対応のように「急げ急げ~」という業務ではありませんので、比較的余裕をもって取り組めます。教える側も、新人さんには1から教えるつもりで接しますので、この業務についてもそんなに不安がらなくて大丈夫です。
⑤その他一般事務・雑務
これも薬局によって様々あると思うのですが、主なところで言うと
- 薬局の清掃・管理
- 電話対応
- 備品の発注
- 経理関連の報告業務
- 機械の不具合の対応
- 本社とのやりとり
- クレーム対応
- 病院や担当する介護施設とのやりとり
- OTC商品販売
- 毎日大量に出る古紙のシュレッダー
- 情報収集
- 調剤報酬改定の際の勉強
などがあげられるでしょうか。細かいことをいえばまだまだ出てくると思います。
個人的な考えにはなりますが・・・薬剤師は薬剤師にしかできない仕事がたくさんある一方、調剤事務は薬剤師さんしかできない仕事以外は全てやっていいわけです。
なのでこの一般事務や雑務に積極的に介入することは薬局全体をスムーズに回すことになります。さらに調剤事務の専門知識が必要ないことに関しては、教えてくれる先輩の手がふさがっていて指示がもらえない時に、新人さん自身が手持ち無沙汰にならずに済みます。ぜひ積極的にやっていってほしいと思います。
調剤事務に必要なスキルや資格は?
さて、ここまで調剤事務の仕事内容に関して解説してきました。ここまで読んで疑問が湧いてきませんか?
ここまでの調剤事務の仕事内容を読んでいると・・・無資格・未経験でも全然イケそうだな??
でも通信講座の宣伝でもよく調剤事務講座とか見るし、資格やスキルで必要なものはあるのかな?
こんな風に感じませんか?実際の求人を見ても「未経験可」「無資格可」として募集しているものは少なくありません。どちらかというと「要普通車免許」の方が多いほどです。通信講座の宣伝で出てくる調剤事務の資格って必要なのかな?と思いませんか。
これに関してうさぎ太郎は素直にこう思っています。
未経験で入ってくる人が、保険関係の知識や調剤報酬の知識を予め持っていてくれるってメチャクチャありがたい!!
そうなんです。1から教えるのってやっぱり大変です。
そして実は薬局によって知識って偏っているんですよ。内科の門前薬局だと内科にありがちなことに知識が偏るし、整形外科の門前薬局だと整形外科にありがちなことに知識が偏る。実は調剤事務って自分の得意分野ってのがありがちで、まんべんなく知り尽くしている人って意外に少ないんです。
だから、未経験でもすでに知識があるっていうのは、教える側から見て、とても貴重なありがたい存在に感じるんですね。
また、こうとも言えます。薬局に入ったらここまで説明したような仕事を覚えることになるのですが、あらかじめ知識がなかったら「仕事を覚えること+保険や調剤報酬に関する知識を習得」しなくてはなりません。最初から結構頭がパンクしてしまうかもしれません。しかし「調剤事務はどのような知識を使って仕事をするのか」ということを前もって知っておくと、その不安がかなり解消されると思います。
ユーキャンの調剤事務お仕事マニュアル 第2版 新井美穂 著 |
あと。単純に、通信講座でも市販のものでも、働き始める前に実際にテキストを開いてみてほしいです。「勉強に取り組んでみたけど理解できる気がしないし、こんな仕事したくない!」と思わなくもないかもしれませんよね。事前に勉強してみようとすることで、大切な人生を相性の悪い仕事で消費してしまうことも防げます。なので、とりあえず応募する前に保険制度や調剤報酬についての資料を開いて実際に見てみることを私うさぎ太郎は強くオススメします。
「未経験可」で募集していても、うさぎの経験上、職場に調剤報酬や保険関連のテキストを用意されていることはまずありません。あったら激レアってくらいです。あるとしたら厚労省か薬剤師会が発行しているお堅い講釈本です。結局勉強するのは自分なので手元に分かりやすい解説書はあると良いと思います。
ちなみに資格を持っていた方が就職に有利かと聞かれれば、さもありなん、と思います。必須ではないけど有利か不利かという論点では、有利です。
例えば1人の募集に対して2人応募があった場合。会社の採用担当者によって資格をどれだけ重要視するかはマチマチかもしれませんが、資格以外の部分が同点なら資格を持っている人を採用すると思います。
個人的には知識を持ってくれているだけでとてもありがたいですが、採用担当者からしたら資格欄に「調剤報酬事務専門士」などの記載があれば、目につきやすいのは確かですよね。
まとめ
「これから調剤事務として働いてみたいな」と思っている方に向けて、調剤事務の仕事内容・資格やスキルは必要かどうかについて解説してきました。
うさぎの経験から導き出された答えはこうです。
「未経験可」で募集している求人は勇気をもって応募してみて!未経験でも資格なくても、1から教えるつもりでこちらもいるよ。ブラインドタッチと学ぶ姿勢があればサポートします!
可能ならぜひ事前に基礎知識を勉強してみてください。資格が有利に働くことは確かです!
こんな感じですね!
調剤事務という仕事に興味を持ってくださった方の参考になれば幸いです^^