はじめに
調剤事務歴15年のうさぎ太郎です。
この記事は選定療養制度が施行される2024年10月以前に書いたものです。
選定療養の施工前はこういう風にジェネリックを選んでもらう努力が必要だったんだな~という感じで参考にしていただければ幸いです。
選定医療施行前はこの記事のように薬局の現場では一生懸命ジェネリックを推進してきました。
しかし、もともと深刻だった医薬品供給不足が、選定療養施行のために更なる医薬品供給不足を招くという結果になっているのは非常に残念なことです。
これまでの努力はなんだったんだろうと思いながら、患者さんに「ジェネリックの在庫がないので、今回は先発品でご用意させてください」と頭を下げた調剤事務さん・薬剤師さんもたくさんおられることと思います。
早くこのジレンマから現場で頑張る人たちが解放されますように・・・!
簡単にジェネリックを選んでもらえる言い回しはあるのか?
主に新規に来局された患者さんに、まずジェネリックと先発どちらを希望するかを尋ねる薬局は多いと思います。
私の薬局では、問診票にもジェネリックに対する意向を尋ねる項目もあるのですが、円滑に処方せんを捌くために問診票の記入&返却を待つより先に、受付時に口頭で意向を尋ねます。
国の方針としても、薬局としても可能ならジェネリックを選択してほしい。みなさん、その時どういう言い回しをしますか?
・ジェネ変の言い回しミスって話が長引く、調剤事務あるある
受付カウンターにいる調剤事務さんは結構忙しい。処方せんを受け取って、初めての方には問診票を書いてもらったり、保険証の確認をしたり、調剤に関して患者さんの意向を伺ったり、患者さんの意図を薬剤師に伝えたり。
時間帯によってはササっと回さなくては受付カウンターに患者さんが列をなすことになってしまいかねません。
忙しい時間帯に度々私が「言い回しミスった~」と思うことが多かったのが【先発orジェネリック】の希望を聞く時でした。
例えば過去のうさぎ太郎は単刀直入にこう聞いていました。
今日のお薬はジェネリックでいいですか?
大多数の人はこの質問で首を縦に振ってくれるのですが、この質問の仕方では一部の人はこう聞き返してきます。
ジェネリックって良く分からんのんよ。
何 が 違 う ん ?
私の一番嫌いなお返事がこれでした。「先発と同じように効くのよね?」と言われれば「はい」で済むのですが、「何が違う」かを問われるのは受付にとって回答が長引く地雷質問です。
これを避けるべく、うさぎ太郎は長年言い回しをコロコロと変え続けてきました。なかなか決定打が決まらない中、やっと落ち着いた言い回しに着地したので皆様に僭越ながらご報告いたします。。。
・早速ですが私のベストな言い回しはコレです
私うさぎが、効率良いなと思う「ジェネリックの意向確認の言い回し」はこれです
こちらの処方せん、ジェネリックか先発品を選べるようになっているんですが、先生(医師)がジェネリックへの変更を許可されている薬についてはジェネリックでご用意させていただいても良いですか?
こんな感じ。「変更不可」欄にチェックがついていない限りこの聞き方です。
この言い回しのいいところは「ジェネリックがどういうものかよく分からないから医師に判断を任せたい人」を自動的にYesに振り分けられる点にあります。
この聞き方をすると「医師がジェネリックの使用を許可している」ということで大多数がジェネリックに流れていき、質問に質問で返してくる人が激減しました。
効率よく処方せんを捌きたいので、受付でジェネリックがどういうものか説明するのはなるべく避けたいものです。一昔前は1から説明することはよくありましたが、今はだいぶ世間に浸透しましたし、この聞き方で深堀りして聞かれることはほぼなくなりました!
・その先の問答はどうするか(なるべく細かい説明を避けるために…)
ちなみに先述した言い方で確認すると、ジェネリックに対してまだ少し不安がある人はこう返してくる方もよくおられます。
ジェネリックもちゃんと効くのよね?
こう聞いてくる方はジェネリックがどういうものが知っていて、それでも不安があるので聞いてきます。これに対してはこう答えるようにしています。
成分は同じですからね、当薬局の患者さんの9割はジェネリックを選ばれていますよ^^
大多数が選ぶものに安心感を抱くタイプの人はこの返答で「ふ~ん」のノリでジェネリックを選択されますし、それでも不安ならやっぱり先発品でご用意しましょうね、となります。
本当にジェネリックがどういうものか知りたい患者さんは、さらに質問を重ねてこられるので、その場合にはちゃんと1から説明しています。有効成分は同じであること、添加物は全く同じじゃないけど薬効を妨げるようなものは添加物として使用を認められていないこと、AGの在庫がある場合はAGなら添加物まで同じであること・・・う~ん、長い。
でもうさぎの場合、ジェネリックの説明を始めるのはここまで質問が進んだ場合のみなので、最近はすることはほぼなくなりました!
・聞き方に正解はない、しかし、やみくもに聞くべからず
ちなみに、ジェネリックか先発か患者さんに聞くときに「これが正解!」という聞き方があるわけではありません。
うさぎの聞き方をあくまで一例として紹介したものの、これが最良なわけではないことは私自身自負しておりますので今でもさらに良いものを模索中でございます。。。
ただ、聞き方や聞く順番次第で、受付→レセコン入力ですごく時間を取られてしまうことは各々自覚しておいた方がよいと思うのです。
もし処方せんを受け取った時に過去のうさぎのように例えば
ジェネリックと先発品、どちらにしましょうか?
という聞き方をしたとしましょう。。。ジェネリック、先発がちゃんと分かっている患者さんはサラリと回答してくれると思います。でもこの聞き方だと、質問の意味が良くわからない患者さんは【YES/NO】だけで答えられないので、かならずもう1つ質問が増えることになります。
その質問が「何が違うの?」だったら・・・なかなかレセコン入力に進めなくなったり、ほかのスタッフに説明を代わってもらうorレセコン入力作業を代わってもらう・・・という業務の渋滞を生むことになるわけです。
その事態が起こる回数を減らすために、結構「聞き方」って大事だよな~と思ううさぎなのであります。
うさぎの言い回しが通じるようになったのは、日本全国の薬局が12年間頑張った成果です!
一般名処方が採用されたり、ジェネリック医薬品体制加算が制定されたり、一昔前はジェネリックを浸透させるための制度が出来るたびに手間がかかるながらに一生懸命患者さんに説明してきました。
ここ数年になって先述した言い回しでサラリと患者さんんがジェネリックを選択してくれる流れが出来てきたのは、日本全国の薬局の薬剤師さんと調剤事務さんが今まで時間を割いて患者一人一人にジェネリックとは何かを説明してきた成果だなと思っています。
今一度確認してみると病院が一般名で処方すると算定できる「一般名処方加算」は平成24年(2012)に制定されたようです。いつの間にか12年。
いや、ここまで長かったですね。日本全国の薬局で働く薬剤師さん・調剤事務さん、ジェネリックとは何かを患者に説明し続けて早12年だそうですよ。お疲れさまでした、本当に。
すでにジェネリックの使用率も8~9割を超えてきているので、某薬剤師さんのブログでは1年ほど前には既にこう書かれていました。「問診票からジェネリックに希望についての項目は削除しました。基本的にはジェネリックで処方するので、先発品を希望する場合は申し出てくださいという表記にしました」と。これも作業の効率化のために悪くないと個人的には思います。
このようにかなり後発品への理解が進んだ昨今ですが、聞き方ひとつで手間が省けるならどんどん「言い回し」で効率化を図れるといいなと思います。調剤事務のみなさんの参考になれば幸いです!